物流倉庫におすすめの暑さ対策とは？物流倉庫が暑くなる理由と、効果的な対策方法

倉庫は構造上面積が広く、冷房効率が悪いことから、冷房をつけてもなかなか涼しくなりません。とくに物流倉庫は商品保管の都合上、窓が少なく熱がこもりやすい構造になっています。従業員が熱のこもりやすい場所で作業を続けると体調不良、熱中症などを招く恐れがあるので、暑さを感じたら早急に対策を行いましょう。

物流倉庫の暑さ対策には、個人でできる対策や、シーリングファンの設置・導入などさまざまな方法があるので、予算や目的に合わせて対策を取るのがおすすめ。本記事では物流倉庫が暑くなる理由を踏まえた上で、効果的な倉庫の暑さ対策について紹介します。

物流倉庫の室内が暑くなる理由

物流倉庫は、施設面積や構造上の問題などを理由により、夏は暑さを感じやすくなります。まずは物流倉庫が暑くなる理由について、具体的に紹介します。

• 施設面積が広く、冷房効率が悪いため
• 折板屋根により、輻射熱の影響を受けやすい

施設面積が広く、冷房効率が悪いため

物流倉庫は施設面積が広く、天井が高い構造のため冷房の効率が悪いことから、夏は暑さを感じやすくなります。物流倉庫は商品保管のため、十分な空間を確保しなければなりません。天井が広く、面積の広い「物流倉庫」では冷房効率が悪く、冷房をつけても「効いていない」と感じてしまうことも……。さらに暖かい空気は建物の上部へ溜まるため、天井が高いほど空気を循環させるのが難しくなり、冷房の効きが悪くなります。

折板屋根により、輻射熱の影響を受けやすい

物流倉庫では、屋根に「金属製の折板屋根」を使用していているケースが多いです。折板屋根とは、凹凸した形状の屋根のこと。折板屋根は軽量で水はけが良く、他の屋根材よりも長く施工できることから倉庫、工場などで多く使用されています。その一方で、折板屋根は薄いことから日射による輻射熱の影響を受けやすく、倉庫内が暑くなるデメリットも。 とくに折板屋根は金属でできていることから熱を吸収する特性があり、夏場は表面の温度が70℃にまで達することもあるようです。

輻射熱とは電磁波によって伝わる熱であり、人体の体感温度を上げる要因のひとつです。倉庫内の暑さ対策には、暑さの原因となる「輻射熱」対策が欠かせません。日射による輻射熱対策には、屋根に「遮熱シート」を施工する方法があります。（※遮熱シートの施工については、後述の「物流倉庫の暑さ対策（業者）」にて詳しく説明します。）

屋根への遮熱シート施工については、「遮熱シートを屋根につけるのは効果的？メリットデメリットや施工事例をご紹介」について説明していますので、合わせてご覧くださいませ。

物流倉庫が暑くなることで、起こる問題とは

作業員が暑さを我慢したままだと、体調不良、熱中症（※１）になるリスクが高くなるので注意しましょう。熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで体内に熱がこもり、体温調節機能が上手く働かなくなる状態のこと。重症になると40度以上の体温になり、けいれんを起こす、昏睡状態、最悪の場合は死に至ることもあるようです。

厚生労働省による「2020年職場における熱中症による死傷災害の発生状況（※２）」によると、2020年の死傷者数は919人、うち死亡者は19人と発表されています。

画像引用：「職場における熱中症による死傷者数の推移（2011 年～2020 年）」厚生労働省

さらに同資料では、業界別死傷者数の割合も公開されており、運送業は15%を占めています。

画像引用：熱中症による業種別死傷者数の割合（2020年速報値）

厚生労働省の資料によると、物流倉庫で作業を行う「運送業」は熱中症となる割合が高く、全業種の中でなんと「ワースト3位」とのこと。面積が広く、窓の少ない物流倉庫は冷房の効きが悪く、熱がこもりやすいので、熱中症になるリスクが高い作業場のひとつ。作業員の熱中症を防ぐためにも、暑さを感じたら早急な対策を取るようにしてください。

引用：※１　熱中症予防のための情報・資料サイト　厚生労働省
引用：※２　2020年職場における熱中症による死傷災害の発生状況　厚生労働省

物流倉庫の暑さ対策（個人）

物流倉庫は暑さ対策を行うことで、夏の暑い時期も快適に過ごせるようになります。まずは物流倉庫の暑さ対策として、個人で対策できる方法を紹介します。

• 空調服を着用する
• ネッククーラーを首に装着する
• こまめな水分補給をする

空調服を着用する

ファン付きの空調服を着用して作業することで、夏の暑い時期も快適に作業できるようになります。空調服とは、小型のファン（扇風機）を内蔵した作業着のこと。空調服はファンから取り込んだ空気で汗を気化し、さらに気化熱を奪うことで涼しさを感じる仕組みとなっています。空調服はモバイルバッテリーを接続することで、電源のない場所でも一定時間ファンを稼働できるので、長時間作業する方におすすめのアイテムと言えるでしょう。

ネッククーラーを首に装着する

ネッククーラーは、首に装着するだけで体をクールダウンできるので、熱のこもりやすい倉庫作業に重宝するアイテムのひとつ。ネッククーラーは首にかけて使用することから、両手が自由に使えるので運搬作業、倉庫管理などを行う作業員におすすめです。

ネッククーラーとは、首を冷やせる便利なアイテムのこと。首元には、血液を循環させる頸動脈と頸静脈という2つの太い血管があります。この２つの血管がある場所は皮膚が薄く、血管を冷やすい場所です。この箇所を冷やすことにより、冷えた血液が身体中を巡り、体を効率よく冷やすことができます。

参照：首元を冷やすとなぜ涼しく感じるの？tajima

こまめな水分補給をする

暑い夏の時期は、汗によって体内の水分が奪われることも……。体内の水分が奪われると体調不良、熱中症、脱水症状などを招く恐れがあるので、こまめな水分補給は欠かせません。

とくに猛暑日は、汗をかくと水分のみならずナトリウム、カリウムなどのエネルギーも消費されてしまいがち。その場合は、こまめな水分補給だけではエネルギーが足りなくなり、熱中症になってしまうことも考えられます。猛暑の暑さ対策には、水分と塩分を同時に接種できる「スポーツドリンク」による水分補給もオススメです。

物流倉庫の暑さ対策（業者）

物流倉庫の暑さ対策は、業者に依頼することも可能です。本項目では物流倉庫の暑さ対策として、業者に依頼できる方法を紹介します。

• シーリングファンの設置・導入をする
• 間仕切りカーテンを設置する
• 遮熱シートを屋根へ設置する

シーリングファンの設置・導入をする

物流倉庫は窓が少なく、暖められた熱が天井付近にこもってしまいがち。空気の循環が悪い物流倉庫には、空気の循環を促す「シーリングファン」の設置がおすすめです。シーリングファンとは、天井につける大きな扇風機のこと。物流倉庫の天井に「シーリングファン」を設置すると、空気の循環を促し、空調効率をアップさせることが可能です。ただし天井が高すぎるなど、倉庫の構造によっては理由で設置が難しいこともあるため、導入する際には十分検討する必要があります。

間仕切りカーテンを設置する

物流倉庫は間仕切りがないところも多く、空調効率が悪いので、冷房をつけてもなかなか涼しくなりません……。そこでおすすめなのが、間仕切りカーテンの設置です。間仕切りカーテンとは、建物の内外に設置し、簡易的に間仕切りをつくるための「ビニール製カーテン」のこと。倉庫内を間仕切りシートで適切に仕切ることができれば空調効率がアップして、冷房の効きが良くなります。

間仕切りカーテンにはさまざまな種類があるので、倉庫の広さ、保管している商品に適したものを選ぶのがおすすめ。目的に合った間仕切りカーテンを設置することで、エアコンの効率アップだけでなく、雨除け、風除け、防炎、防虫などさまざまな効果を見込めるでしょう。

遮熱シートを屋根へ設置する

遮熱シートを倉庫屋根に設置することで、日射による輻射熱を反射し、夏の暑さ対策に繋げることができます。倉庫の屋根は日中太陽の熱にさらされていることから、輻射熱の影響により高温になってしまうことも。屋根に熱がこもると、室内に向けて熱が放射され、室温上昇の原因となります。さらに輻射熱は遠赤外線により伝わる性質があり、人体の奥まで熱が届く特徴も。倉庫内の暑さ対策には、屋根への「輻射熱対策」が欠かせないと言えるでしょう。

倉庫は凹凸のある折板屋根であるケースが多いので、「折板屋根」という鋼板性の屋根に遮熱シートを取付ける工法「サーモバリア　スカイ工法」がおすすめ。

スカイ工法とは、輻射熱の反射に優れたアルミ箔を使用したスカイシートを取り付ける工法のこと。シートを貼り付ける工法なので、作業者の技量の優劣、作業時の天候に関係なく均一な遮熱効果を発揮します。

まとめ

本記事では、物流倉庫が暑くなる原因、具体的な暑さ対策の方法などについて解説をしてきました。物流倉庫の暑さ対策は、具体的に以下の通りとなります。

（個人）

• 空調服を着用する
• ネッククーラーを首に装着する
• こまめな水分補給をする

（業者）

• シーリングファンの設置・導入をする
• 間仕切りカーテンを設置する
• 遮熱シートを屋根へ設置する

倉庫内が暑くなると、作業員が体調不調、熱中症を招く恐れがあるので注意しましょう。夏の暑さを感じた時は、上記で紹介した対策、リフォーム方法で快適な職場環境を構築していきましょう。