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熱中症で労災がおりるケースとは?熱中症で労災認定を受けられるケースと、工場・倉庫の熱中症対策について紹介

熱中症対策
熱中症で労災がおりるケースとは?熱中症で労災認定を受けられるケースと、工場・倉庫の熱中症対策について紹介

「業務中に熱中症を発症した場合、労災を受けることはできるのだろうか……」

業務中に従業員が熱中症を発症した場合、労災(※業務中に傷病した際に、補償を受けられる労働災害保険のこと)の対象となる可能性があります。熱中症とは、暑さにより体内の水分、塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れ、血液の流れが滞る現象のこと。熱中症になると体温が上昇し、脱水症状、めまい、吐き気などの症状を発症します。

ただし、熱中症で労災を申請する場合、条件によっては労災が認められないケースも……。労災を申請したい場合は、「労災認定を受けられる条件」を理解しておく必要があると言えるでしょう。(※詳しくは、後述にて詳しく説明あり。)

また企業側は、従業員が熱中症を発症しないよう、快適な作業環境を構築することも大切。厚生労働省による「職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年)」によると、過去3年間(平成22~24年)の業種別「熱中症の死亡災害」の発生状況において、熱中症死亡者数は建設業が全体の約4割を占め、次いで製造業でも多く発生していることが確認できました。

画像引用:職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年)(厚生労働省)

建設業・製造業は、熱がこもりやすい工場、倉庫で従業員が作業することも多く、夏の暑い時期は熱中症を発症する恐れあり。従業員の健康を守るためにも、工場・倉庫の場合はより一層「暑さ対策」を十分に行う必要があると言えるでしょう。本記事では、熱中症で労災認定を受けられるケースを紹介するとともに、工場・倉庫で対策可能な熱中症対策についても紹介していきます。

熱中症による労災の認定基準

暑がり熱中症によって「労災」を受ける場合、認定基準を満たしていなければ「労災を受けることができない」ので注意しましょう。まずは「労災」の意味を踏まえた上で、労災が受けられるケース、受けられないケースについて詳しく紹介します。

  • 労災とは?
  • 熱中症で労災が受けられるケース
  • 通勤中に熱中症を発症した場合
  • 熱中症で労災が認められないケース

労災とは?

労災とは、「労働災害」の略のこと。ただし、一般的には「業務中に傷病した際に、補償を受けられる労働災害保険」のことを意味することが多いです。労働災害保険とは、労働者が業務、または通勤中に傷病した際に、保険給付を受けられる制度。

企業に勤める従業員は、業務中に負傷、疾病した際に、所定の手続きにより労働基準監督署長宛に労災保険給付の請求をすることで、給付金を受けられる可能性があります。ただし、条件によっては「労災」が受けられないケースもあるので注意が必要。(※詳しい解説については、後述にて詳しく説明します。)

関連記事:労働災害が発生したとき(厚生労働省)

熱中症で労災が受けられるケース

熱中症で労災が受けられるかどうかは、「業務上疾病」に入るかどうかが認定の基準となります。業務上疾病の範囲は、厚生労働省による労働基準法「施行規則第 35 条別表1の2」 にて詳しく記載されているので、こちらをご確認下さい。労働基準法の記載内容には、「暑熱な場所における業務による熱中症」の一文も。このことから、暑熱で過酷な環境下での業務中に「熱中症」を発症した時には「業務上疾病」となることが確認できました。

また、「公益財団法人 労災保険情報センター」の資料では、熱中症が「労災」認定されるための条件について詳しい記載あり。主な条件については、以下のとおり。

【一般的認定要件】

  • 業務上の突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
  • 当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
  • 業務に起因しない他の原因により発病(又は増悪)したものでないこと

【医学的診断要件】

  • 一般症状の視診(けいれん、意識障害等)及び体温の測定
  • 作業条件及び温湿度条件等の把握
  • 作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

上記の条件を満たした場合、熱中症による「業務上疾病」と認定され、労災が受けられます。

通勤中に熱中症を発症した場合

車の窓

通勤中に熱中症になった場合は「労災」と認められる可能性大。通勤は、自宅から会社まで移動すること。通勤は、労働者災害補償保険法にて、以下のように定義しています。

通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。

一 住居と就業の場所との間の往復
二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動

引用:労働災害補償保健法 第7条より

ただし、通勤中に経路を外れる、または移動を中断した場合は「通勤」とは認められません。

熱中症で労災が認められないケース

熱中症で労災認定されるかどうかは、業務(または通勤)中に発症したか、または関係しているかどうかが重要となります。たとえば「持病の悪化」「休業中の疾病」など、業務と関係ない疾病の場合は認定を受けることができません。また、休業4日未満の労働災害の場合は「労災保険」ではなく、企業側が従業員に対して「休業補償」を行う必要があります。

休業補償とは、休業1日につき給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給される制度のこと。休業補償は、所定の条件を満たす限り、休業4日目からその期間中支給を受けることができます。詳しい条件、内容については厚生労働省の「休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続」から関連資料をダウンロード可能なので、気になる方はぜひご確認ください。

労災保険の申請方法について紹介

労働者が熱中症を発症した場合、労働基準監督署に労災保険を申請し、内容が「労災」と認定されると給付を受けることができます。ここでは、「これから労災申請をする」方に向けて、労災保険の申請方法について詳しく説明します。

  • 医療機関を受診する
  • 労災保険請求に必要な書類を、各機関に提出する

医療機関を受診する

まずは、熱中症を発症した従業員が、医療機関を受診する必要があります。なお、「労災病院」、「労災指定医療機関」で受診する場合は、自己負担なしで受診することも可能。 ただし、指定病院以外を利用する場合は、従業員が治療費を立て替えなければなりません。治療費は、後から国に請求することで全額支給されます。

労災保険請求に必要な書類を、各機関に提出する

医療機関で受診を受け「熱中症」の診断が下りたら、次に厚生労働省から労災保険請求に必要な「請求書」をダウンロードしましょう。書類をダウンロードしたら必要事項を記載し、各機関に提出します。書類の提出先は、受信先によって異なるので注意が必要。

主な書類提出先は、以下の通り。

  • 指定医療機関で受診した場合……受診した病院
  • 指定医療機関以外で受診した場合……労働基準監督署

労災申請の手続きは、熱中症になった本人(または家族)が行うこともできますが、企業が従業員の代理で申請手続きを進めるケースが一般的です。給付請求書の書式は、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」からダウンロード可能。(※労働基準監督署からも書式を入手することができます。)

申請に時に必要な書類は、給付の種類(疾病内容など)によって異なります。詳しくは、厚生労働省のホームページにて確認してくださいませ。

会社が安全配慮義務を怠った場合は、会社側が「損害責任請求」を支払う可能性も

労災保険は、熱中症など業務集に疾病・怪我をした労働者に対し、補償を行う制度です。ただし労災の原因は会社、もしくは第三者が法律に違反したことにより発生した場合は、「労災」ではなく会社や第三者に対し、法律違反を理由に損害賠償を請求することも可能です。

たとえば、会社が安全配慮を怠ったことが原因で従業員が熱中症を発症した場合、会社は従業員から労災保険とは別に「賠償賠償」を請求される恐れあり。損害賠償とは、疾病・怪我などの損害を受けた被害者に対して、加害者側が支払う賠償金のこと。

労働環境が過酷な状況下の場合、条件によっては「安全配慮を怠った」と判定され、治療費、休業損害費用を企業側が請求される可能性も……。とくに従業員が熱中症となり、後遺障害が残った場合、高額な損害賠償金を請求されることもあるかもしれません。企業側が「安全配慮を怠った」と認定されないためにも、快適な労働環境作りが必要不可欠と言えるでしょう。

工場・倉庫の暑さ対策を紹介

倉庫労働環境が「空調効率が悪い」「暑い」など過酷な状況下の場合、従業員が熱中症になる恐れあり。また、上述でも紹介したように、労働環境の問題で従業員が熱中症を発症した場合、「損害責任」を請求される可能性も……。これらの問題を防ぐためにも、従業員が快適に作業できる労働環境を構築する必要があります。

とくに工場・倉庫など窓の少ない構造の場合、室内に熱がこもる可能性大。室内に熱がこもると室温上昇の原因となり、従業員が熱中症になる恐れがあるので注意しましょう。最後に工場・倉庫の暑さ対策について、具体的に紹介します。

  • シーリングファンを設置する
  • 遮熱シートを屋根に施工する
  • 遮熱シートを機器に取り付ける

シーリングファンを設置する

工場・倉庫は窓が少ない建物も多く、室内に熱がこもりやすい環境です。とくに食品用の倉庫・工場の場合、商品が腐らないよう外部から密閉されているケースも多く、空気の循環が悪くなってしまいがち……。

空気の循環が悪い環境下では、室内に熱をこもらせないよう、空気の循環を促す対策が必要不可欠。そこでおすすめなのが、工場・倉庫の天井にシーリングファンを設置する方法です。シーリングファンとは、天井につける大きな扇風機のこと。天井に設置することで空気を循環させ、室内に熱がこもるのを防ぐ働きがあります。

遮熱シートを屋根に施工する

遮熱シートを屋根に施工遮熱シートを工場の屋根取付けることで、日射による輻射熱を反射し、室内の温度上昇を防ぎます。遮熱シートとは、輻射熱を反射する金属製シートのこと。

輻射熱とは、電磁波によって伝わる熱のことで、人体の体感温度を上げる要因のひとつとも言われています。遮熱シートを屋根に施工することで、建物内へに入る熱を抑える働きがあるので、夏の暑さ・熱中症対策に効果的と言えるでしょう。

工場・倉庫のような凹凸の屋根(折板屋根)に遮熱シートを設置する場合は、シートを直接屋根に貼り付ける「スカイ工法」がおすすめ。

スカイ工法スカイ工法とは、輻射熱の反射に優れたアルミ箔を使用したスカイシートを取り付ける工法のこと。「スカイ工法」には折板屋根特有の雨漏れを防ぐ作用があるので、雨漏り対策にも効果的です。

遮熱シートを機器に取り付ける

工場に乾燥炉、焼成炉がある場合、周囲の温度が高温になりやすく、従業員が熱中症になるリスクも……。機器から発せられる「輻射熱」は、人体の奥まで侵入し、暑さを感じる原因となるので注意が必要です。

機器からの輻射熱対策には、機器に直接設置できる「遮熱シート」の施工がおすすめ。遮熱シートを機器に取り付けることで、機器から発せられる「輻射熱」を抑えるので、熱中症対策に効果的と言えるでしょう。

大きな機械には、遮熱シートを裁縫してテント状に機器を囲み込む「フィット工法」があります。フィット工法とは、遮熱シートで機器をまるごと囲み込む工法のこと。

フィット工法フィット工法で機器に遮熱シートを設置することで、輻射熱を屋外へ放出できるようになり、快適な労働環境の構築が可能です。

まとめ

従業員が熱中症になると、条件によっては労災を申請することが可能です。ただし、企業側に過失があった場合(※安全配慮義務を怠った場合など)、労災とは別に「損害賠償」を請求されることも考えられます。とくに従業員が重度の熱中症となり、後遺症まで残る事態、もしくは死亡に至った場合は高額な損害賠償を請求されることも……。

これらのトラブルを防ぐためにも、企業側は従業員が快適に作業できる環境づくりを行い、熱中症予防に努める必要があります。とくに工場・倉庫は「屋根が広い」「窓が少なくて、熱がこもりやすい」といった構造の問題から、従業員が暑さを感じ、熱中症を発症するリスクが高くなる恐れあり。

従業員の熱中リスクを防ぐためにも、工場・倉庫ではより「暑さ対策」を徹底しなければなりません。工場・倉庫の暑さ対策に効果的な方法は、主に以下の通り。

(工場・倉庫の暑さ対策)

  • シーリングファンを設置する
  • 遮熱シートを屋根に施工する
  • 遮熱シートを機器に取り付ける

工場の屋根・機器に遮熱シートを設置することで、体温上昇の原因となる「輻射熱」を反射するため、暑さ・熱中症対策に効果的。熱がこもりやすい「工場・倉庫」といった環境では、上記で紹介した方法を実施し、従業員が熱中症にならない環境づくりを行っていきましょう。

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ライフテック
編集部

自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。

当社は、断熱材だけでは防げない輻射熱を97%カットすることができる遮熱材「サーモバリア」を販売しております。サーモバリアは、住宅や工場などの屋根や壁に使用することで、夏の太陽の輻射熱による建物の温度上昇を抑え、体感温度を下げることができる、自宅や工場の熱問題の解消につながる製品です。

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