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今こそ、家畜農家が「暑さ対策」をやるべき理由とは?大切な家畜を守るために「対策方法」と「事例」を知ろう

畜産農家
今こそ、家畜農家が「暑さ対策」をやるべき理由とは?大切な家畜を守るために「対策方法」と「事例」を知ろう

牛、豚、鶏などの家畜動物はデリケートなため、暑さを感じると「暑熱ストレス」を受けてしまいがち。

暑熱ストレスとは、家畜動物の体温上昇によってさまざまな症状を引き起こすことを意味します。家畜動物が「暑熱ストレス」を受けると生理機能、繁殖性、抗病性の低下などを招く恐れがあるため、家畜農家は暑さ対策を行う必要があると言えるでしょう。

本記事では畜舎に暑さ対策が必要な理由とともに、具体的な暑さ対策、施工事例について紹介します。

家畜農家が「暑さ対策」を必要とする理由とは

牛、豚、鶏などの「家畜動物」は、暑さに弱い特徴があります。家畜動物が暑さを感じると、暑熱ストレスを受けてしまう可能性大。特に昨今の暑さは酷く、気温が40度近い日も少なくありません。家畜動物の健康を守るためには、今後のことを考えても暑さ対策が必要不可欠と言えるでしょう。まずは家畜農家に「暑さ対策」が必要な理由について、具体的に紹介します。

  • 家畜動物が暑熱ストレスを受ける恐れがある
  • 輻射熱の影響を受けやすい「折半屋根」のケースが多い
  • 作業員の体調不良、熱中症リスクが高くなる

家畜動物が暑熱ストレスを受ける恐れがある

牛、豚、鶏などの家畜動物には、それぞれ「過ごすために快適な適温」があります。動物の適温は、厚生労働省の資料「産業動物臨床医学雑誌」にそれぞれ記載あり。資料によると、主な家畜動物の「適温」は以下のとおり。日本の夏では多くのエリアで30度を超えるため、家畜に適した気温出ないことがわかりますね。

  • 乳用牛  4~20℃
  • 肉用牛 10~20℃
  • 豚 5~20℃
  • 採卵鶏 13~25℃
  • 肉用鶏 19~23℃

家畜動物が「適温」以上の温度となる環境下に身を置くと、暑熱ストレスを受けることにより、「生殖ホルモン」が乱れてしまう恐れがあります。

※引用画像:厚生労働省 産業動物臨床医学雑誌

生殖ホルモンが乱れると生殖機能が上手く機能しなくなり、乳用牛は乳量が落ちる、採卵鶏は卵を産む量が減ってしまう可能性も……。食用家畜の場合(牛、豚、鶏)は、暑熱ストレスを受けると食欲が低下し、痩せこけてしまうこともあるようです。

このように家畜動物達が熱さによって「暑熱ストレス」を受けるようになると、畜産の品質、生産量に悪影響を及ぼす恐れも。家畜動物の品質、生産性を損ねないためにも、畜舎内の温度を「動物の適温」になるよう管理していきましょう。

※参考資料:厚生労働省 産業動物臨床医学雑誌

輻射熱の影響を受けやすい「折板屋根」のケースが多いため

折板屋根

牛舎など「畜舎」の屋根は、一般的に凹凸のある「折板屋根(せっぱんやね)」が多くなります。折板屋根とは、金属の板を凹凸に加工して作られた屋根のこと。軽量で耐久性に優れている一方で、薄い金属製の素材で作られていることから「日射による輻射熱の影響を受けやすい」というデメリットも。

輻射熱とは「電磁波によって伝わる熱」のことで、人体や家畜の体感温度を上げる要因のひとつ。暑さ対策を行うには、輻射熱対策が欠かせません。

折板屋根の輻射熱対策には、屋根に遮熱シートを施工する方法も。遮熱シートとは、輻射熱を反射するアルミシートのこと。畜舎の屋根に遮熱シートを施工することにより、日射による輻射熱を反射し、夏の暑い時期も快適に過ごせるようになります。

作業員の体調不良、熱中症リスクが高くなる

畜舎内の暑さ対策を行うことで、そこで働く作業員の体調不良、熱中症リスクを防ぐ効果も期待できます。上述でも解説したように、畜舎は日射の影響を受けやすい「折板屋根」を利用しているケースが多いため、夏の暑い時期は室温が上昇してしまいがち……。

日射による「輻射熱」は、人体の体感温度を上げる要因のひとつとも言われています。輻射熱対策を行わない状態のままだと、室温が上昇して作業員が暑さで体調不良、または熱中症になるリスクが高くなるので注意しましょう。

熱中症とは、体温上昇により体内の水分・塩分のバランスが崩れ、体温の調節機能が上手く働かなくなる状態のこと。熱中症になるとめまい、けいれん、頭痛などのトラブルを起こし、最悪の場合は死に至るケースも。畜舎内で働く作業員の健康を守るためにも、暑さ対策は必要不可欠と言えるでしょう。

家畜農家が対策可能な「暑さ対策」を紹介

家畜動物、畜舎内で働く作業員の健康を守るためにも、「畜舎」内の暑さ対策は欠かせません。ここでは、家畜農家が対策可能な「暑さ対策」について、具体的に紹介します。

  • 畜舎にミスト冷房を設置する
  • 畜舎の屋根にドロマイト石灰を塗って表面を白くする
  • 畜舎の屋根に、遮熱シートを施工する

畜舎にミスト冷房を設置する

引用画像:いけうちのミスト冷房で牛の熱中症対策(霧のいけうち)

畜舎内にミスト冷房を設置することで、霧が室内の熱を気化させ、温度上昇を防ぎます。ミスト冷房とは、微細な霧状のミストを発生する冷房のこと。水は蒸発する際に、周囲の熱(気化熱)を奪う作用あり。気化熱を奪うことで空気の温度が下がり、室内が涼しくなります。ミスト冷房による霧は粒子が細かく、家畜動物達の体を濡らすこともないため、デリケートな動物達も快適に過ごせます。

参考記事:いけうちのミスト冷房で牛の熱中症対策(霧のいけうち)

畜舎の屋根にドロマイト石灰を塗って表面を白くする

画像引用:家畜衛生だより(庄内家畜保健衛生所)

屋根にドロマイト石灰を塗って表面を白くすることで、太陽の光を反射させ、屋根の温度上昇を抑える効果が期待できます。ドロマイト石灰とは、炭酸マグネシウムを含む「苦灰石」という鉱物を石灰に加工したもの。

白色のドロマイト石灰を屋根に塗る際には、動力噴霧器を使用して屋根に吹きつけていきます。なお西部農業改良普及所の資料「暑熱対策としてのドロマイト石灰屋根塗布の効果(活動期間:平成25年5月~8月)」によると、過去には屋根にドロマイト石灰を塗って白くすることで約5℃、牛舎内側の屋根温度を下げられたという事例も。

画像引用:暑熱対策としてのドロマイト石灰屋根塗布の効果(活動期間:平成25年5月~8月)(西部農業改良普及所)

ドロマイト石灰は低コストなため、予算を抑えて暑さ対策を行いたいと考えている家畜農家におすすめの方法とも言えるでしょう。

参考資料:暑熱対策としてのドロマイト石灰屋根塗布の効果(活動期間:平成25年5月~8月)(西部農業改良普及所)

畜舎の屋根に、遮熱シートを施工する

畜舎の建物は、薄い金属製の「折板屋根」が多いため、夏の暑い時期は直射日光の影響を受けて熱くなってしまいがち。屋根の温度が上昇すると熱が室内に侵入し、室内の温度が上昇します。室内の温度が上昇すると、家畜動物が暑熱リスクを受けるリスクが高くなるので、暑さ対策は必要不可欠。

屋根の温度上昇を抑えるには、輻射熱を反射する「遮熱シート」を屋根に施工する方法がおすすめ。遮熱シートを屋根に施工することで、日射による輻射熱を反射し、室温上昇を抑制。室内が快適に過ごせるようになれば、家畜動物達もストレスフリーで過ごせるようになります。

遮熱シートは、屋根の上のみならず畜舎の「屋根下」に施工する方法も。

屋根裏に施工することで、屋根にこもった熱が室内に侵入するのを防ぎ、室温上昇を抑えます。

家畜農家による「暑さ対策」の施工事例を紹介

畜舎の暑さ対策を行う際に、他の家畜農家の過去事例をチェックして、参考にする方も多いことでしょう。本項目では、家畜農家による「暑さ対策」の施工事例について紹介します。これから畜舎の暑さ対策を検討している方は、ぜひ参考にしてくださいね。

  • 牛舎内に「畜舎ミスト冷房システム」を設置
  • 牛舎の屋根下に遮熱シートを施工

牛舎内に「畜舎ミスト冷房システム」を設置

画像引用:畜舎ミスト冷房システム|CoolPescon®CH導入事例|酪農|株式会社丸尾牧場-1(霧のいけうち)

株式会社丸尾牧場は、快適な牛舎環境を構築するために「畜舎ミスト冷房システム」を設置しました。畜舎ミスト冷房システムは、霧状のミストで牛舎内の熱を冷却する機器のこと。室内の熱を冷却することで、夏の暑い時期も快適に過ごせる効果が期待できます。

牛は熱暑によるストレスで発情周期が乱れやすく、暑さが原因で本来の受胎時期から遅れてしまうケースも。受胎時期が遅れると、次年度の乳量バランスが崩れてしまい、十分に乳量を摂取できない可能性大。「畜舎ミスト冷房システム」の設置により、気化熱により牛舎内を冷却し、夏季の暑熱ストレスから牛たちを守ることができるようになります。

参考記事:畜舎ミスト冷房システム|CoolPescon®CH導入事例|酪農|株式会社丸尾牧場-1(霧のいけうち)

牛舎の屋根下に遮熱シートを施工

牛舎の遮熱対策として、過去には屋根下に遮熱シート(サーモバリアS)の施工事例も。サーモバリアSとは、エアーキャップに両面アルミ箔を貼った遮熱シートのこと。

サーモバリアSサーモバリアSは、あらゆる部位に使用できるオールマイティーなタイプの遮熱シート。もちろん、屋根下への施工も可能です。屋根下に遮熱シートを施工することにより、屋根にこもった熱が室内に侵入するのを防ぎ、室温上昇を抑えます。

関連記事:牛舎で採用。牛も快適に!!

畜舎の暑さ対策をする際には、事前に「補助金制度」が利用できるか調べておこう

畜舎の暑さ対策を行う場合、内容によっては国の補助金を利用できる可能性も。国の補助金制度の条件、期間については随時以下のページで募集が行われているので、気になる方はマメなチェックをおすすめします。

なお補助金制度は公募時期が定められており、予定総額に達すると応募が打ち切られてしまう恐れがあるので注意が必要。畜舎の暑さ対策で「補助金制度」の利用を検討している場合は、農林水産省・独立行政法人畜産産業振興機構のページで公募募集案内がされていないか、事前に確認しておきましょう。

まとめ

畜舎内の温度が上昇すると、家畜動物が「暑熱ストレス」を感じるようになり、生産性、繁殖性などが低下する恐れあり。家畜動物の生産性、繁殖性を維持するためにも、畜舎内の暑さ対策は必要不可欠と言えるでしょう。家畜農家の暑さ対策は、主にに以下の通り。

  • 畜舎にミスト冷房を設置する
  • 畜舎の屋根にドロマイト石灰を塗って表面を白くする
  • 畜舎の屋根に、遮熱シートを施工する

畜舎の建物は、屋根が凹凸の「折板屋根」であるケースが一般的。折板屋根の場合は、シート状の遮熱シートを貼り付ける「スカイ工法」を施工する方法も。スカイ工法とは、輻射熱の反射性の高いアルミ箔を使用した「スカイシート」を取り付ける工法のこと。

スカイ工法スカイ工法はシートを直接貼り付ける工法なので、技術者の技量に関係なく均一な効果を発揮します。また、折板屋根特有の雨漏れを防止する効果もあるので、雨漏り対策を検討している方にもおすすめ。上記で紹介した「畜舎の暑さ対策」を行って、家畜動物達を「暑熱ストレス」から守りましょう。

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ライフテック
編集部

自宅や工場の熱問題に取り組む、株式会社ライフテックの編集部が執筆・監修を行いました。

当社は、断熱材だけでは防げない輻射熱を97%カットすることができる遮熱材「サーモバリア」を販売しております。サーモバリアは、住宅や工場などの屋根や壁に使用することで、夏の太陽の輻射熱による建物の温度上昇を抑え、体感温度を下げることができる、自宅や工場の熱問題の解消につながる製品です。

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