ビニールハウスでできる3つの寒さ対策。適切な温度で農作物を育て、従業員の方々の作業環境も改善しよう。

ビニールハウスで野菜や果物の栽培を行っている農家さんの中には、ハウス内の寒さ対策が足りていなかった為に、農作物に被害を出してしまった経験がある方もいるのではないでしょうか？そして寒さ対策の為の設備を検討したものの、積雪量の多い地域や山の奥などの地形的な問題で諦めた方も少なくないでしょう。

寒さ対策をしない事は農作物に被害が及ぶだけではなく、そこで働く従業員の職場環境にも影響を及ぼします。だからこそビニールハウスの寒さ対策が必要ですが、なかなか寒さ対策に踏み切れていない農家さんも多いでしょう。本記事ではビニールハウスで出来る寒さ対策とビニールハウスに寒さ対策が必要な理由について解説します。

ビニールハウスに寒さ対策が必要な2つの理由

ビニールハウスに寒さ対策が必要な理由は、主に農作物の保護や成長の促進の為とそこで働く従業員の方々の職場環境を整える為です。寒さによって枯れてしまう農作物が発生したり、寒さで手がかじかんでしまい従業員の方々の作業スピードが低下してしまっては、農業を営む事業者もそこで働く従業員の方にも良い事はありません。ビニールハウスの寒さ対策を行う事で、農作物と職場環境のそれぞれの問題点を解決することができます。

【理由1】寒さに弱い農作物が育ちずらくなる

夏野菜や南国の国の果物の場合は、常に植物に触れている外気（温度）が暖かくないといけません。植物にはそれぞれ発育に適した温度があり、その温度を下回ってしまうと農作物の変色や成長が止まったり、最悪の場合は枯れてしまいます。そのような事を防ぐ為にハウス栽培を始めた農家さんもいらっしゃると思いますが、それだけでは農作物を育てる上で理想の温度に達していないケースも多いはずです。

そのままにしておくと提供している農作物の品質そのものが落ちてしまう可能性もあるので、農作物の品質向上と成長を促す為にも現在のビニールハウスに加えて寒さ対策を行う事をお勧めします。

【理由2】農作業員の方々の作業効率の低下

前項で述べたように、ハウス内を適切な温度にする事によって農作業員の方々の作業効率を改善することができます。人間の場合は18℃を下回ると徐々に作業効率は低下していきます。農業は屋外での仕事なので必ずしも作業員の為に18℃以上を勧めているのではなく、冬の屋外はほとんどが18℃を下回っているので1℃でも暖かくする事で、作業員の作業効率は上げる事が出来るという事を知っているだけでも今後の寒さ対策へ向き合う考え方は変わってくるでしょう。農作物を育てる上での問題解決と合わせて作業員さんへ思いやりを込めて、暖かいビニールハウスに改善が出来ると良いでしょう。

ビニールハウスでできる3つの寒さ対策

ビニールハウスには大掛かりな空調設備や温度の管理システムを導入されることはほぼありません。なぜならアクリル素材やガラスで作られているハウスとは違い、定期的に外装のビニールを張り替えるので大きな設備を取り付けることができないからです。ビニールハウスの場合、その他の素材で作られたハウスに比べて行える対策は少ないかもしれませんが、ビニールハウスでも行える寒さ対策はあります。以下ではビニールハウスでもできる寒さ対策について紹介をします。

1. 内張りカーテンを設置する

画像引用：ビニールハウスの保温対策！冬の暖房費を抑えたい農家必見！（施設園芸）

内張りカーテンをビニールハウスに設置することで、外気の影響を受けにくくなり、冬の寒さから農作物・農作業員を守ることができす。内張りカーテンとは、断熱・保温効果に優れたカーテンのことです。内張りカーテンには一枚のフィルムのみで構成された物や中間に空気層を持った『二重構造フィルム』タイプなど、さまざまな種類があります。内張りカーテンは一枚のフィルムで出来たものよりも「空気層を持った『二重構造フィルム』タイプ」の方がコストがかかる分、断熱・保温効果が高くなります。内張りカーテンを選ぶ時は、目的・予算に合わせて適したものを選びましょう。

2.「断熱シート」を施工する

ビニールハウスに断熱シートを施工することで外気の影響を受けにくくなり、寒さから農作物・農作業員を守ることができます。断熱シートは、熱の伝わりを遅らせるシートのことです。断熱シートには空気層が含まれており、その働きによって熱の伝わりを抑える効果が期待できます。ビニールハウスに断熱シートを取り付けることで、外からの冷気が伝わるのを抑え、室温低下を改善する効果があります。

3.「遮熱シート」を施工する

遮熱シートをビニールハウスに施工することで室内外の熱移動を抑え、冬の寒さを防ぐ効果が期待できます。遮熱シートとは輻射熱を反射する金属製アルミシートのことです。遮熱シートは熱を反射させる効果があるので、冬は室内の熱を反射させて暖かく、夏は屋外の熱を反射させるので涼しくといった、理想の環境を環境を実現できます。ビニールハウスに遮熱シートを施工する理由、効果については『【農家の皆様におすすめ!!】遮熱シートをビニールハウスに施工？施工する理由とその効果とは』で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

ビニールハウスの「寒さ対策」をする際の注意点

農作物のなかには、生育の段階で紫外線が必要などな種類も存在します。紫外線が必要な農作物の場合、寒さ対策に遮光性の高いもの（光を遮る性能が高いもの）を選ぶと、生育に悪い影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。断熱シートや遮熱シートの場合、日光を遮ってしまうので、ビニールハウスの寒さ対策を行う時には農作物に合わせて適した方法を行うことが大切です。。

まとめ

本記事ではビニールハウスの寒さ対策を行う事で、農作物の成長を促進する効果や作業員さんの作業効率向上に繋がる理由とビニールハウスに出来る寒さ対策について紹介をしました。今回はビニールハウスを例に紹介をしましたが、牛舎や工場など、似たようなお悩みを抱えている事業者様は多いと思います。それぞれの事業に当てはまるようなお悩みなどがありましたら、今回の記事の内容を踏まえて対策を行ってもらえると幸いです。