日本政府は、2050年までに「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする=カーボンニュートラル」を実現することを宣言しています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることで、実質的な排出ゼロを目指す考え方のことです。
温室効果ガスには、CO2(二酸化炭素)、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスなどが含まれ、これらは地球温暖化の主な要因とされています。環境省が公表した「2023年度の温室効果ガス排出量及び吸収量」によれば、産業部門(製造業を含む)の排出量は前年比で約4.0%(▲約1,400万トン)減少したものの、依然として全体の中で最大の割合を占めています。
こうした状況を踏まえると、日本の脱炭素化を推進する上で「製造業におけるCO2の排出量を削減する」ことが極めて重要な課題であることが理解できます。では、工場からのCO2排出を抑えるには、どのような対策が必要なのでしょうか。本記事では、製造現場で実践可能なCO2削減の具体策・主な企業事例について詳しく紹介します。
工場がCO2削減に取り組むメリット
脱炭素化に向けた国の政策が加速する中、製造業における「CO2排出量の削減」は、企業にとって避けて通れない経営課題となりつつあります。一方で、こうした取り組みに前向きに対応することで、企業はさまざまなメリットを享受することも可能です。まずは、工場がCO2削減に取り組むことで得られる具体的なメリットを紹介します。
- ランニングコストの削減
- 企業イメージの向上
- 取引先からCO2排出量の提出を求められるケースも
ランニングコストの削減
大規模な工場では、照明や機械の稼働により、膨大な光熱費が発生します。こうした現場でCO2排出量を削減する取り組みを実施することで、光熱費を削減し、ランニングコストを抑える効果が期待できます。ランニングコストとは、企業の活動・事業運営において、日常的に発生する継続的な費用のことです。
ランニングコストを軽減することで、必要経費を抑える働きによって、利益率の向上にも役立ちます。省エネ設備の導入には初期投資が必要となる場合もありますが、光熱費の継続的な削減効果により、長期的にみれば「初期費用」を回収できる可能性も十分にあります。
企業イメージの向上
国が脱炭素化を推進する動きによって、企業側が「CO2排出削減へ取り組み」を実施することが、企業評価の新たな指標になりつつあります。すでに上場企業では、脱炭素への対応が企業価値を測る重要な目安となっています。
たとえば東証プライム市場では、2027年3月よりGHG(温室効果ガス)排出量の開示が義務化される予定です。現在、金融庁はISSB(国際サステナビリティ基準審議会)(※)の開示基準をもとに制度の設計を進めており、施行後は有価証券報告書での開示が求められる見通しです。
その他にも、近年では投資家が株主提案を通じて企業に脱炭素への対応を促したり、「ダイベストメント(投資撤退)」によって化石燃料関連の企業やプロジェクトから資金を引き上げる動きも広がっています。
こうした流れの中で、企業が省エネを通じてCO2削減に取り組む姿勢を示すことは、環境意識の高い顧客や取引先、株主からの評価向上につながる重要な要素となっています。
※ISSB(International Sustainability Standards Board)……英ロンドンに本部を置く非営利団体「IFRS財団」が運営している制度のことです。企業がESGなどの非財務情報を開示する際には、投資家が比較しやすいよう国際的に統一されたルールが必要です。その基準を策定する機関として、2021年に設立されました。
取引先からCO2排出量の提出を求められるケースも
近年、国による脱炭素化の推進を背景に、企業も納入先(顧客)や取引先から、CO2排出量のデータ開示や削減計画の提出を求められるケースが増えています。大手メーカー各社は、自社だけでなくサプライチェーン全体での「CO2削減目標」を掲げており、サプライヤー(※)にも協力を求める動きが広がっています。
たとえば、2021年6月にはトヨタ自動車が主要な部品メーカーに対し、「前年比で、CO₂排出量を3%削減するよう要請した」ことが話題となりました。このように、今後企業との取引において、相手先からCO2排出データの開示や、削減への取り組みを求められる可能性があります。将来的な取引の機会を逃さないためにも、早期からCO2削減に取り組んでおくことが望ましいと言えるでしょう。
※サプライヤー……企業活動に必要な原材料・資材、サービスなどを供給する売り手のこと。
参考記事:工場のCO2削減に必要な見える化と5つのアプローチ(THK)
工場で対策が可能なCO2削減方法
工場からのCO2排出を抑えるためには、どのような対策が考えられるでしょうか。ここでは、CO2排出量の軽減に効果的な取り組みをいくつか紹介します。
- 太陽光発電を導入する
- 空調制御システムを設置する
- 遮熱シートを屋根へ施工する
- 遮熱シートを機械へ施工する
太陽光発電を導入する
太陽光発電とは、太陽光を電力に変換することが可能な、パネル状の設備のことです。パネル部分は主にシリコンなどの半導体で構成されており、太陽光を受けることで、その光エネルギーを日射の強さに応じて電気エネルギーへと変換します。
太陽光発電を導入することで、自家発電が可能となり、電力会社への依存を軽減できるようになり、その結果として省エネ・CO2削減などに役立ちます。さらに、日中の電力購入量が減少することで、契約電力の基準となるデマンド値を抑え、基本料金の削減にもつながります。
※デマンド値……1ヵ月の最大需要電力のこと。各月の契約電力は、その1ヵ月の最大需要電力(デマンド値)と過去11ヵ月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値が基準となる。
関連記事:カーボンニュートラルに向けて企業でできることとは?カーボンニュートラルの具体的な取り組み、事例について紹介
空調制御システムを設置する
空調制御システムとは、外気温をセンサーで読み取り、自動で快適な温度に調節してくれる機器のことです。空調制御システムの導入によって、無駄なエネルギーを消費する必要がなくなり、光熱費・CO2の削減効果が期待できます。
さらに、電力の使い方をリアルタイムで見守る「モニタリング機能」がついている機器であれば、エネルギーの使い方を分析・改善することが可能となり、より高い省エネ効果が見込めます。
遮熱シートを屋根へ施工する
遮熱シートとは、輻射熱を反射する性質を持つ金属製のアルミシートのことです。工場の屋根に施工することで、日射によって発生する輻射熱を効果的に反射し、室温の上昇を抑制します。さらに遮熱シートの働きによって空調効率が向上し、間接的な省エネ・CO2排出量の削減効果も期待できます。
工場の折板屋根には、弊社が特許を取得した「スカイ工法」が最適です。
スカイ工法とは、遮熱性能に優れたアルミシートを屋根に直接貼り付ける施工工法のことであり、作業者の技量や天候に左右されることなく、常に均一な遮熱効果を発揮します。
遮熱シートを機械へ施工する
遮熱シートを機械に施工することで、熱効率が向上し、省エネ・CO2排出量の削減といった効果が期待できます。機械への遮熱対策には、弊社の特許工法である「フィット工法」の採用がおすすめです。
フィット工法とは、遮熱シートをテント状に仕立て、機械全体を覆うように設置する施工工法です。シート同士を裁縫で繋ぎ合わせることができるため、乾燥炉などの大型機械にも柔軟に対応可能です。
その他にも、室内の温度を快適に保つ作用があるため、作業環境の改善や熱中症対策といった面でも効果を発揮します。
企業による、主なCO2削減事例
省エネ・CO2対策の中には、大規模な設備投資が必要となるケースも多く、内容によっては多額のコストがかかるケースもあります。そのような理由から、設備の導入を検討する際には、他社の取り組み事例が気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そのような事業者様に向けて、実際に省エネ・CO₂削減に取り組まれた企業様の事例を、具体的に紹介します。
- 太陽光パネルを設置し、電力使用量を約10%削減(株式会社 池田製作所)
- 空調制御システムの設置により、電力消費量を削減(裕幸計装株式会社)
- スカイ工法とフィット工法の併用により、電力消費量を大幅に削減(トヨタ紡織株式会社 大口工場様)
太陽光パネルを設置し、電力使用量を約10%削減(株式会社 池田製作所)
群馬県太田市に本社を構える株式会社池田製作所様は、自動車部品の製造・販売を手がける企業です。同社では、CO2排出量の削減と経費削減の両立を目的に、本社工場に出力276kWの太陽光パネルを導入しました。
太陽光パネルの設置により、年間約27万kWh(本社工場の電力使用量の約12%)を自家発電でまかなう見込みです。さらに、CO2排出量の算定や省エネ施策の実施により、取引先から求められる環境情報の開示にも迅速に対応できるようになり、現在も良好な取引関係を維持しているそうです。
参考資料:企業の脱炭素取組事例(経済産業省)
空調制御システムの設置により、電力消費量を削減(裕幸計装株式会社)
裕幸計装株式会社は、オフィスビルを中心とした建物において、電気・空調・セキュリティなどの自動制御システムの設計・施工・メンテナンスを手がける企業です。同社は、ベトナムにある部品生産工場6社に対し、合計540台の空調機に「空調制御装置」を導入しました。
設置の際には、室外機に搭載された圧縮機の稼働状況を電流値で常時監視し、圧縮機に負荷をかけることなく、プログラムされた最適なタイミングで30分に1回、または2回の運転制御を実施しました。この働きによって、電力消費量の削減とCO2排出量の低減を実現しました。
参考記事:空調制御システムを用いた工場の省エネ(JCM)
参考サイト:裕幸計装株式会社
スカイ工法とフィット工法の併用により、電力消費量を大幅に削減(トヨタ紡織株式会社 大口工場様)
愛知県丹羽郡大口町にあるトヨタ紡織株式会社 大口工場様では、機械設備を常時高温で加熱する必要があり、光熱費がかさむ状況が続いていました。そこで、省エネルギーと熱対策の両立を目的に、機械設備には「フィット工法」、屋根には日射による輻射熱を抑える「スカイ工法」を採用されました。
フィット工法とスカイ工法を併用した結果、設備の放熱効率が向上し、電力消費量の大幅な削減につながったとのことです。スカイ工法は、屋根上の作業のみで施工が完了するため、同社からは「工場の稼働を止めることなく導入できた」という点においても、高く評価されています。
関連記事:「機械設備の放熱対策」と「屋根遮熱工事」対策 電力消費量大幅に削減!
カーボンニュートラルへの取り組みに、サーモバリアがおすすめである理由
カーボンニュートラルの実現に向けて、企業にはエネルギー使用量の削減や、CO2を含む温室効果ガスの排出抑制が求められています。こうした背景の中で、弊社で施工が可能な「サーモバリア」は、熱対策に特化した製品として、企業の「カーボンニュートラルへの取り組み」を支援しています。
省エネ効果を高めるには、遮熱性能に優れた遮熱材を選ぶことが大切です。遮熱シートには「アルミ純度が高いものほど、輻射熱の反射性能が向上する」という特性がありますが、弊社のサーモバリアはアルミ純度99%を誇り、輻射熱に対して高い遮熱効果を発揮します。
さらに、JIS規格(A1420)に基づく熱実験データの精査により、サーモバリアは厚さ70mmのグラスウールに匹敵する断熱性能を有することが確認されています。この高い遮熱性能を活かし、サーモバリアを屋根や機械設備に施工することで、空調負荷の軽減や電力消費量の削減につながり、省エネ・CO2排出量の削減に大きく貢献します。
関連記事:カーボンニュートラルに向けて企業でできることとは?カーボンニュートラルの具体的な取り組み、事例について紹介
まとめ
工場でCO2削減に取り組むことは、脱炭素化への貢献に加え、企業イメージの向上やランニングコストの削減にも貢献します。その対策のひとつとして、省エネ効果に優れた遮熱シート「サーモバリア」の施工も有効な手段の一種です。
弊社では、工場の屋根にスカイ工法を施工する場合や機械にフィット工法を施工する場合、空調機器や乾燥炉の負荷軽減による電気代削減額・CO2削減量を、事前にシミュレーションすることが可能です。省エネシミュレーションを活用することで、導入前に具体的な効果を把握できるようになり、省エネ対策の精度をさらに高めることができます。
近年では、企業間取引においてCO2排出量のデータ開示や削減計画の提出を求められるケースも増えており、事前のシミュレーションを実施することで、こうした要請にも迅速に対応することが可能です。シミュレーションをご希望の場合は、代理店にご依頼いただければ、専用の依頼書をもとに、具体的な削減費用をご案内いたしますので、そちらもあわせてご相談ください。



画像引用:
画像引用:

