工場などの現場は、日射や機械から発生する輻射熱の影響を受けやすいなどの理由なら、室温が上昇します。室内の温度が高くなると、そこで働く従業員が熱中症になるリスクが高くなるので、熱中症対策が欠かせません。
高温多湿な環境下では、暑さ対策のために水分・塩分の補給が必要不可欠ですが、飲料の種類によって成分(ナトリウム濃度・糖分量・電解質など)に違いがあるため、作業環境・発汗量に合わせて飲料を適切に選ぶことが大切です。
本記事では、水分・塩分の補給が熱中症対策に役立つ理由、おすすめの飲料・塩タブレットの種類、摂取時の注意点を踏まえた上で、熱中症を未然に防ぐための具体的な対策についても詳しく紹介します。
目次
熱中症対策で水分・塩分補給が必要な理由
2025年6月施行の法改正により、厚生労働省は高温多湿な環境に作業員を従事させる事業者に対し、熱中症対策を義務付けました。義務化された対策の一環として、同省は「飲料・塩分の補給」に関して、以下のような対応を事業者に求めています。

労働者
- のどが渇いていなくても、作業の前後。作業中に、水分と塩分をこまめに摂取する。
管理者
- 労働者が水分・塩分をきちんと摂っているかを確認するために、記録表を作成してチェックを実施する。
- 労働者からの申告がなくても、水分の常備・休憩しやすい設備を整えるなどの対策を行う。
熱中症対策の義務化により、管理者は労働者に対して水分・塩分の補給を促す責任があります。労働者自身も、健康を守るためにその指示をきちんと守り、こまめな水分・塩分補給を意識することが大切です。
参考記事:職場における熱中症対策が義務化されます(厚生労働省 滋賀労働局)
熱中症対策に効果的な飲み物・塩分
工場内の高温環境では、汗とともに水分だけでなく、塩分や糖分も失われていきます。これらが不足すると、体内の調節機能がうまく働かず、熱中症を引き起こすリスクが高まるため注意が必要です。
本項目では、熱中症対策として効果的な飲料や、塩分を補えるアイテムについて紹介します。
- カフェインを含まない飲み物
- スポーツドリンク
- 塩タブレット
カフェインを含まない飲み物
コーヒーなどに含まれるカフェインには利尿作用があり、体質によっては摂取した水分量を上回る水分が尿として排出されてしまう恐れがあります。体内の水分が不足すると、脱水症状を引き起こす可能性が高くなるため注意が必要です。
熱中症対策として水分補給を行う際には、カフェインを含まない「ノンカフェイン飲料」を選びましょう。代表的なノンカフェイン飲料は、主に以下のとおりです。
- ミネラルウォーター……食品衛生法において「水のみを原料とする清涼飲料水」と定められている飲料水。
- 麦茶……小粒・大粒の大麦やはだか麦を、直火・熱風・熱媒体などで焙煎して作ったお茶のこと。
- ルイボスティー……南アフリカのセダルバーグ山脈で育つ「ルイボス」の葉を使用したお茶のこと。
- コーン茶……焙煎したとうもろこしの実から作られる、ほんのり甘く香ばしい風味が特徴のお茶。
- 黒豆茶……焙煎した黒豆を使用した健康茶で、香ばしさと栄養価の高さが魅力です。
紅茶・煎茶・ほうじ茶・玄米茶・ウーロン茶は、コーヒーや玉露と比較すると少ない量ではあるものの、カフェインが含まれているので摂取する際には注意が必要です。
スポーツドリンク
スポーツドリンクは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質を含む「イオン飲料」の一種です。このイオン飲料とは、水分とともに電解質(イオン)を含み、体内にスムーズに吸収されるよう設計された飲料のことを指します。
画像引用:ポカリスエット基本情報(大塚製薬)
汗には、水分だけでなく、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの重要なミネラルが含まれています。これらのミネラルは、体温調節や筋肉の働きなど、身体の機能を維持するために欠かせない成分だからです。発汗によって体からミネラルが失われると、体の調整機能がうまく働かなくなり、熱中症を引き起こす可能性が高くなります。スポーツドリンクは、失われた水分とミネラルを同時に補給できるため、熱中症対策に非常に有効なのです。
ただし、スポーツドリンクは製品により成分量が異なります。そのため、パッケージに記載されている「栄養成分表示」を確認して選ぶことが大切です。厚生労働省は、熱中症対策として100mlあたり食塩相当量が0.1~0.2gの飲料を選ぶことを推奨しています。この目安を参考に、ご自身に合った製品を選びましょう。
塩タブレット
作業中に塩分を補給したい場合、塩タブレットを食べるのもひとつの手段です。塩タブレットとは、水と一緒に摂ることで、効率よく水分・塩分を補給できるタブレット型のお菓子です。
画像引用:夏の体調管理 水分+塩分チャージ。厳しい夏、体調管理、どうしてますか?(カバヤ)
タブレットには、汗で失われやすいナトリウムのほか、クエン酸・吸収の早い糖分(ブドウ糖など)が含まれており、暑さ対策やスポーツ時の栄養補給にも適しています。
塩タブレットは高温でも溶けにくく、持ち運びに便利なので、屋外作業の際にもおすすめです。塩タブレットは、商品によって含まれる成分が異なるため、購入時には「塩分以外に補える栄養素」もあわせてチェックしておくと良いでしょう。
参考記事:【管理栄養士が解説】塩分タブレットの選び方と食べるシーン別おすすめ商品11選(くすりの窓口)
熱中症・脱水症状がみられた時の飲み物
汗をかくと、体からは水分だけでなく電解質も失われます。電解質とは、水に溶けることで電気を通す性質を持つ物質のことであり、主にナトリウムイオンやカリウムイオンなどが含まれます。
電解質は、体液の浸透圧の調整や、神経・筋肉の興奮伝達など、身体の機能維持に欠かせない役割を担っています。電解質が不足すると、倦怠感・筋肉痛・吐き気・めまいなどの脱水症状があらわれ、重症化すると血圧低下・臓器への血流障害を引き起こすこともあるようです。
画像引用:オーエスワン(大塚製薬)
脱水症状が疑われる場合は、水分と電解質をバランスよく補える経口補水液の摂取がおすすめです。経口補水液は、消費者庁が許可した病者用食品として分類されており、用途に応じて以下の2種類があります。
- 許可基準型……感染性胃腸炎による下痢や嘔吐に伴う脱水症状の際に、水・電解質を補給できる。
- 個別評価型……脱水を伴う熱中症にも有効。
熱中症や脱水症状が疑われる場合は、個別評価型の経口補水液を選定します。経口補水液のパッケージには、アレルゲン・賞味期限・原材料・保存方法などが記されているため、購入の際には用途や体質に合った製品を選びましょう。
参考記事:薬剤師コラム(あかね薬局)
飲料を摂取する際の注意点
経口補水液は、スポーツドリンクよりも塩分(ナトリウム)・電解質の含有量が多く、脱水状態のときに限って使用することが推奨される飲料です。そのような理由から、消費者庁も経口補水液の日常的な摂取を控えるようにと、注意喚起を行っています。
そもそも経口補水液は、脱水症状がみられる場合に限って使用するものであり、予防目的で日常的に飲むことは推奨されていません。脱水症状がみられた場合であっても、医師からナトリウムやカリウムの摂取制限を受けている方は、必ず医師と相談のうえ、指示に従って使用してください。
その他にも、スポーツドリンクには塩分・糖分が多く含まれているため、過剰に摂取すると高血圧や肥満のリスクを高める可能性も……。水分補給の際には、健康への影響を考えて適量を心がけましょう。
参考記事:経口補水液(けいこうほすいえき)について(消費者庁)
熱中症を未然に防ぐ対策を紹介
工場の熱中症対策は、水分補給はもちろんですが、作業環境そのものを見直すことも大切です。ここでは、工場内で実施できる具体的な暑さ・熱中症予防策を紹介します。
- 空調制御システムを導入する
- 工場の屋根に遮熱シートを施工する
- 工場の屋根に遮熱シートを施工する
空調制御システムを導入する
工場の暑さ・熱中症対策には、空調制御システムの導入も有効な手段のひとつです。空調制御システムとは、室内の温度・湿度を常に一定の値で保つように、自動で調整するシステムのことです。
空調設備に設置された温度センサーが室内の状況を計測し、そのデータをもとに制御装置が空調の温度設定を自動で調整する働きによって、室内の温度を一定に保ちます。さらに空調制御システムの働きによって、室内の空調効率が向上し、その結果として省エネ効果も期待できます。
空調制御システムの種類によっては、既存の設備に温度センサー・制御装置を後付けできるケースも。そのような場合であれば、既存設備のメーカーが提供する制御システムを採用するか、もしくは後付け設置に対応したシステムを選ぶと良いでしょう。
参考記事:工場でできる熱中症対策とは?熱中症対策をすべき理由も解説(lakeel)
工場の屋根に遮熱シートを施工する
工場では、金属製の折板屋根が採用されているケースが多く、日射による輻射熱の影響を受けやすい構造となっています。輻射熱とは、遠赤外線によって伝わる熱のことであり、人体の体感温度を上昇させる作用があります。
夏の暑さを防ぐには、輻射熱を反射する遮熱シートを屋根に施工する方法が有効です。遮熱シートとは、太陽の熱である輻射熱を反射する作用をもつ金属製アルミシートのこと。屋根に遮熱シートを設置することで、日射による輻射熱を抑え、室温の上昇を防ぎます。
折板屋根への施工には、スカイ工法が最適です。スカイ工法とは、輻射熱の反射性能に優れた「スカイシート」を屋根に直接貼り付ける工法のこと。

シートを屋根に直接貼り付ける工法のため、作業者の技量の優劣、作業時の天候に関係なく均一な遮熱効果を発揮します。さらにスカイ工法には、折板屋根特有の雨漏れを防ぐ効果もあるため、一度の施工で熱対策・雨漏り対策を同時に行うことが可能です。
関連記事:スカイ工法とは?
工場の機械に、遮熱シートを施工する
工場に機械が設置されている場合、そこから大量の輻射熱が出ているため、室温が上昇します。機械に遮熱シートを設置することで、輻射熱を抑制し、室内の温度上昇を抑えることが可能です。
大型機械に遮熱シートを設置する場合は、機械全体を囲み込むフィット工法が最適です。フィット工法とは、機械から放出される熱を効率的に遮断するために開発された特許工法のこと。
フィット工法では、 両面にアルミ箔を施した不燃シートを使用します。不燃シートはテント状に縫製することが可能なため、乾燥炉などの大型機械にも施工が可能です。
関連記事:フィット工法
遮熱シートの効果を最大限に高めるコツ
遮熱シートは、アルミの純度が高いものほど遮熱性能が向上します。遮熱効果を最大限に高めたい場合は、純度の高いアルミ素材を使用した遮熱シートを選ぶ方法がおすすめです。
弊社の遮熱シート「サーモバリア」は、純度99%以上の高純度アルミ箔を採用しています。サーモバリアを屋根・機械に施工することで、暑さ・熱中症対策に高い効果を発揮します。
サーモバリアは、JIS規格A1420に基づく熱実験データの精査により、熱線を反射する性能に優れていることが確認されています。サーモバリアは、薄型のシートを1枚挟むだけで、入射する熱の大部分を表面で遮断することが可能です。
その優れた断熱性能は、厚さ70mmのグラスウールに匹敵します。さらに、サーモバリアは2枚重ねて設置することで、140mm相当のグラスウールと同等の断熱効果を得ることが可能です。
使用枚数に応じて遮熱性能が向上するのも、サーモバリアの嬉しいメリットのひとつと言えるでしょう。
関連記事:サーモバリアの効果・実証実験
まとめ
熱中症を防ぐ飲料・塩分タブレットは、主に以下のとおりです。
- カフェインを含まない飲み物(ミネラルウォーター・麦茶・ルイボスティー・コーン茶・黒豆茶)
- スポーツドリンク
- 塩タブレット
熱中症対策の効果をさらに高めるには、工場の屋根・機械に遮熱性能の高い遮熱シートを施工するなど、建物への暑さ対策を行う方法が有効です。弊社が取り扱う遮熱シート「サーモバリア」は、暑さを軽減するだけでなく、空調器の効率化・省エネにも効果があるため、作業環境の改善や熱中症対策などに活かすことができます。
安全で働きやすい環境づくりのために、飲料・塩分補給+環境整備の両面から暑さ対策を実施して、熱中症のリスクを抑えましょう。








