工場に設置された乾燥炉・焼却炉などの設備からは、高温の輻射熱が発生しています。そこで働く作業員の中には、機器から発せられる輻射熱に悩まされている方も多いでしょう。
輻射熱は遠赤外線によって伝わる熱であり、人体の体感温度を上げる作用があるので、輻射熱対策を行うことで夏の暑さ対策・熱中症予防や、作業環境の改善などに役立ちます。
高温を発する設備には、耐熱性能の高い遮熱材を施工することによって、暑さの原因となる輻射熱を防ぎ、室内の快適性を保つことが可能です。耐熱性能の高い遮熱材は、種類によって特徴が異なるので、用途・目的に合わせて使い分けることで、より高い効果を見込めます。
本記事では、遮熱材の種類・効果について紹介した上で、耐熱性能の高い製品について具体的に紹介します。
目次
耐熱性能のある遮熱材とは
遮熱材には暑さの原因となる「輻射熱」を反射する効果がありますが、高温の環境下では十分な効果が得られないことがあります。温度の高い輻射熱が発生する場所では、耐熱性能の高い遮熱材を選ぶことが大切です。
まずは遮熱材の意味、断熱材との違いを詳しく説明するとともに、耐熱性能のある遮熱材の特徴について紹介します。
- 遮熱材とは
- 断熱材とは何が違うの?
- 耐熱性能に優れた遮熱材の特徴
遮熱材とは
遮熱材とは、日射・機器から発せられる輻射熱を反射する素材のことです。遮熱材を建物の屋根・壁などに施工することで、住宅や工場などの暑さ・寒さ対策に役立ちます。
遮熱材にはさまざまな種類があり、目的や用途に合わせて使い分けることが大切です。遮熱材の例としては、主に次のような種類があります。
- 遮熱塗料……遮熱効果を持つ塗料のこと。
- 遮熱フィルム……窓ガラスなどに貼ることができる、フィルムタイプの遮熱材。
- 遮熱シート……アルミ箔をシート状に加工した遮熱材のこと。
いずれの遮熱材も、建物に施工することで輻射熱を反射し、室温上昇を防ぐ効果が期待できます。工場の乾燥炉・焼成炉といった設備に遮熱対策を行う際には、縫製によってサイズを調節できる遮熱シート(不燃シート)などを使用するケースが多いです。
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断熱材とは何が違うの?
断熱材は、熱の伝わりを遅くする素材のことです。断熱材には空気層が含まれており、空気層が多いほど熱の伝わりが遅くなります。断熱性能の高い断熱材を選びたい時には、空気層が厚いものを選ぶと良いでしょう。
遮熱材が輻射熱を反射する素材であるのに対し、断熱材は伝導熱・対流熱の伝わりを遅らせる作用があります。輻射熱・伝導熱・対流熱とは、熱の伝わり方の種類であり、それぞれの熱の説明については以下のとおりです。
- 伝統熱……湯たんぽ、カイロ型。「直接触れて伝わる熱のこと」
- 対流熱……エアコン、温風ヒーター型。「風、空気で伝わる熱のこと」
- 輻射熱……電気ストーブ、太陽型。「赤外線によって、体の奥まで伝わる熱のこと」
断熱材には伝導熱・対流熱の伝わりを遅らせる働きがありますが、輻射熱には効果を発揮しません。このように遮熱材、断熱材はそれぞれ防げる熱が異なるので、施工する際には目的に合ったものを選ぶことが大切です。すべての熱を抑えたい場合は、断熱材と遮熱材を併用して施工することをおすすめします。
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耐熱性能に優れた遮熱材の特徴
耐熱性能に優れた遮熱材を選ぶ際には、不燃性の高いものを選びましょう。不燃性とは、火・炎にさらされた際に燃えない、または極めて燃えづらい性質のことです。
不燃性・耐熱性能に優れた遮熱材を選ぶ際には、国土交通大臣が認定した「不燃材料認定品」を選ぶ方法がおすすめです。不燃材料認定品とは、国土交通大臣の認定を受けた建築材料であり、不燃性能に関して国が定める技術的基準を満たしている製品のこと。不燃材料認定品に選定されるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 加熱開始後、20分間燃焼しない
- 変形・溶融など、防火上有害な損傷を生じない
- 有害な煙・ガスを発生しない
不燃材料認定を受けた製品は、それぞれ「NM‐〇〇〇〇」「NE‐〇〇〇〇(外部仕上げ用)」という形で、認定番号が割り振られます(〇には4桁の数字が入ります)。国から認定された「不燃材料認定」を受けた遮熱材であれば、高い温度を発する設備にも安心して施工できます。
遮熱材の施工で得られる効果
輻射熱を反射する遮熱材を建物・機械へ施工することで、さまざまな効果を得ることができます。ここでは、遮熱材を使用することで得られる効果について詳しく紹介します。
- 室温上昇を抑制する
- 省エネ効果が期待できる
室温上昇を抑制する
遮熱材を建物の屋根・壁・床などに施工することで、太陽から発せられる輻射熱を反射し、室内の温度上昇を抑制します。輻射熱とは、遠赤外線の熱線によって伝わる熱のことです。
輻射熱の種類には、太陽の熱・赤外線ストーブなどがあります。遮熱材を建物の屋根・壁・床などに施工することによって、日射から発せられる輻射熱を防ぎ、室温の上昇を抑えます。
工場の場合は、建物の他にも機械そのものに遮熱対策を行う方法も。機械に遮熱材を施工することにより、機械の熱が外部に放出されないため、工場内の温度上昇を抑え、働きやすい労働環境に繋げることが可能です。
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省エネ効果が期待できる
輻射熱には、体の芯から温める作用があります。遮熱材によって輻射熱を反射することにより、人体の体感温度が下がるので、冷房の使用量を削減できます。遮熱材による「冷房の使用料を減らす働き」によって、省エネ効果が期待できます。
遮熱シートには、室内の熱を内側に反射する作用もあるので、寒い時期は暖房効率が向上し、寒い時期も快適に過ごせます。さらに遮熱シートの効果によって暖房器具の使用を抑えることができ、電気代を削減することが可能です。
工場の設備に遮熱シートを施工した場合であれば、機械内に熱を閉じ込めることができるので、生産性の改善にも効果が期待できます。
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耐熱性能をもつ遮熱材の種類
耐熱性能を持つ遮熱材には、さまざまな種類があります。ここでは、とくに耐熱性能に優れた遮熱材について詳しく紹介します。
- 遮熱不燃シート(ヒートシールディング)
- 高温用特殊シート
- 不燃シート
遮熱不燃シート(ヒートシールディング)
遮熱不燃シート(ヒートシールディング)とは、建物・倉庫・作業場の天井や屋根裏用の遮熱不燃シートのことです。遮熱不燃シートの施工により、屋根から伝わる熱を遮熱し、室温上昇を抑えます。
さらに、遮熱不燃シートには室内の熱が外に逃げるのを防ぐ作用もあるので、冬の寒さ対策にも効果的です。遮熱不燃シートは薄くて軽く、縫製加工が可能なので施工性に優れています。
遮熱不燃シートは、国土交通大臣が認定した「不燃材料認定品」です。遮熱不燃シートは、国からその不燃性を認められた製品となるので、安心して施工することが可能です。
高温用特殊シート
高温用特殊シートとは、溶接・溶断時の火花除け、ケーブル等の火災予防対策に役立つシートのことです。高温用特殊シートも、国土交通大臣が認定した「不燃材料認定品」となるので、不燃性・耐熱性能に優れています。
高温用特殊シートは火花除けや火災予防対策の他にも、遮熱対策としても使用できます。遮熱対策として使用する際には、高温炉の耐熱カーテン、間仕切りとして利用できるので、高温な作業現場の「暑さ対策」におすすめです。
不燃シート
不燃シート(不燃膜材)は、国土交通省がが定める「不燃材料認定」に合格した遮熱材のことです。ここで言う不燃とは、燃えないことを示すものではなく、「一定時間、燃え抜けない」ことを意味しています。不燃シートは、主にガラスクロスを中間層とし、表裏をPVC(塩化ビニール)で加工されたものが多いです。
不燃シートは遮熱材の一種となるので、機器から発せられる輻射熱に高い効果を発揮します。不燃シートは裁縫によって大きくつなぎ合わせることができるので、乾燥炉・焼却炉などの大きな機器にも使用が可能です。
参考記事:サーモバリアフィット
耐熱性能に優れたシートなら「サーモバリア フィット」がおすすめ
耐熱性能に優れたシートには、弊社の「サーモバリア フィット」がおすすめです。サーモバリア フィットとは、ガラスクロス繊維に特殊樹脂シートを合わせ両面にアルミ箔を施した不燃シートのこと。
国土交通大臣が認定した「不燃認定取得シート」となるので、安心して施工することが可能です。
サーモバリア フィットは、フィット工法によって施工を行います。フィット工法とは、遮熱シートを縫製しつなぎ合わせて設備を蚊帳のように包み込む工法のこと。
サーモバリアフィットは縫製加工ができるので、シートをつなぎ合わせることによって、乾燥炉・焼却炉などの大きな設備にも施工することが可能です。設備をまるごと遮熱シートですっぽりと覆うので、機械から発せられる熱を大幅にカットします。
参考記事:サーモバリアフィット
まとめ
耐熱性能の高い遮熱材の種類は、主に以下のとおりです。
- 遮熱不燃シート
- 高温用特殊シート
- 不燃シート(サーモバリアフィットなど)
これらの遮熱材を建物・機器に施工することで、工場内の温度管理が大幅に改善され、作業環境が快適になります。遮熱材は種類によって特徴・施工に適したものが異なるので、目的と用途に合わせて適切な遮熱材を選ぶことが大切です。
弊社の「サーモバリア フィット工法」であれば、機械を不燃シートで包み込むので、高い遮熱効果が期待できます。フィット工法による輻射熱対策を行ったお客様の中には、「生産量が13%アップした」という方もいらっしゃいます。
耐熱性能の高い遮熱材を建物・機器に施工して、作業環境の改善や生産性の向上に役立てていきましょう。