体育館は建物の構造上、熱がこもりやすく、室温が上昇しやすい環境のため、暑さ対策が欠かせません。一方で、文部科学省が令和8年5月1日現在で実施した調査によると、全国の公立小中学校の体育館等(武道場を含む)における空調(冷房)設備の設置率は 31.7% にとどまっています。前回調査(令和7年9月)から9.0ポイント上昇したものの、依然として普及が十分とは言えない状況です。
室内の気温が高くなると、そこで活動する生徒の体調不良や熱中症のリスクが高くなります。重症化すれば命に関わることもあるため、生徒の健康を守るうえで、体育館における熱中症対策は極めて重要です。
本記事では、体育館で熱中症対策が求められる理由を整理するとともに、具体的な暑さ対策について紹介します。
目次
体育館の熱中症対策が必要な理由
体育館は構造上、熱が滞留しやすく、夏は高温環境になりやすい施設のひとつ。そこで活動する人々の健康・安全を確保するためには、適切な熱中症対策が欠かせません。まずは、体育館で熱中症対策が求められる理由について見ていきましょう。

- 空調を設定しないケースが多い
- 人々の熱が蓄積されやすい
- 避難所としての役割をもつため
空調を設定しないケースが多い
体育館は、天井が高く空間容積が大きい構造となっています。そのため、一般的な教室やオフィスと比べて冷暖房が効きにくく、従来は通風や換気を重視し、空調による温度管理を前提としない設計が採用されるケースも少なくありませんでした。

しかし、近年は夏季の猛暑が深刻化しており、体育館内の温度が著しく上昇することも珍しくありません。気象庁のデータによると、日本の平均気温は過去100年間で約1.26℃上昇しており、猛暑日の増加も大きな課題となっています。こうした背景から、そこで活動する人々の健康と安全を守るためにも、熱中症対策をはじめとする暑さ対策がますます重要になっています。
人々の熱が蓄積されやすい
体育館では、スポーツ活動によって発生する人体の熱や汗によって、室内が高温多湿になることが多いです。競技によっては、風の影響を避けるために窓を閉めた状態で利用することも多く、熱や湿気を十分に排出できないといったケースも……。
このような理由から、体育館内には熱や湿気がこもりやすく、高温多湿な環境になってしまいがち。その結果、そこで活動する人たちの体感温度が上昇し、熱中症のリスクが高くなります。

避難所としての役割をもつため
公立学校の体育館は、地震や台風、豪雨による水害などの災害発生時に、地域住民の避難所として利用されるケースが多くあります。また、私立学校においても、自治体との協定に基づき避難所として活用される場合があります。
体育館には、教育・スポーツ活動の場としてだけでなく、地域の防災拠点としての役割も求められています。そのため、災害時に避難者が安全かつ快適に過ごせる環境を整えるためにも、暑さ対策は重要な課題の一つです。
こうした背景から、文部科学省は近年、体育館の空調整備を防災機能強化の観点からも推進しています。今後は、教育・スポーツ活動の場としての機能と、災害時の避難所としての機能を両立できる環境づくりが、ますます重要になるといえるでしょう。
体育館で利用可能な、熱中症対策グッズ
体育館の暑さ対策には、個人で使える熱中症対策グッズを活用する方法も効果的です。近年では、ホームセンターや100円ショップなどで手軽に購入できる商品も増えています。ここからは、体育館での活動時に役立つ熱中症対策グッズを紹介します。
- 冷感タオルの活用
- ネッククーラーを首に巻く
- クールアームカバーを使用する
冷感タオルの活用
暑さを感じた際は、濡れたタオルを肌に当てるなどして体を冷やすことが大切です。
画像引用:今夏の災害発生時における熱中症対策について(周知依頼)(環境省)
しかし、その都度タオルを濡らすのは手間がかかるため、冷感タオルなどの便利なアイテムを活用することをおすすめします。冷感タオルとは、ポリエステルなどの冷感素材を使用したタオルのことです。使用する際は、水に濡らして軽く絞った後、数回振ってから首に巻くだけで、手軽に冷感効果を得ることができます。
通常のタオルに比べて生地表面の温度が低く感じられるため、肌に触れることで涼しさを感じやすくなります。また、製品によって冷感性能や冷却効果の持続時間、デザインなどが異なるため、用途や使用環境に合わせて選ぶとよいでしょう。
ネッククーラーを首に巻く
ネッククーラーとは、首元を冷やして体温の上昇を抑えるためのアイテムです。

首には太い血管である頸動脈が通っているため、首元を冷やすことで効率よく体温を下げる効果が期待できます。
保冷剤を入れ替えるタイプであれば繰り返し使用できるため、体育館で運動するときにも役立ちます。ただし、長時間の使用や過度な冷却は体に負担をかける場合があるため、適度に使用することが大切です。
クールアームカバーを使用する
クールアームカバーとは、腕を覆うタイプの暑さ対策アイテムです。本来は暑さ対策や日焼け防止を目的として屋外で使用されることが多いものの、体育館内での熱中症対策にも役立ちます。
製品によっては、吸汗速乾機能や接触冷感機能を備えており、汗をかいても快適な着用感を維持しながら涼しさを得ることができます。そのため、夏場の体育館での活動時にもおすすめです。また、屋外での応援や移動時の日差し対策にも活用できるため、体育館とグラウンドを行き来する部活動やスポーツ活動の際にも便利です。
建物全体の熱中症対策
暑さ対策には個人で使用できるグッズも効果的ですが、設備を導入することで、より広い範囲の暑さ対策が可能です。ここでは、体育館に設置できる主な熱中症対策設備を紹介します。
- スポットクーラーを設置する
- シーリングファンを設置する
- 遮熱シートを屋根に施工する
スポットクーラーを設置する
空調設備がない体育館では、エアコンの設置が難しいケースも少なくありません。そのような場合におすすめなのが、スポットクーラーの活用です。

スポットクーラーとは、エアコンと同様に空気を冷却し、冷たい風を送り出す空調機器のことです。壁掛けエアコンのような大規模な設置工事が不要で、コンセントに接続するだけで手軽に使用できます。
必要な場所へピンポイントで冷風を送ることができるため、体育館での活動時の暑さ対策に効果的です。エアコンを設置できない場合の補助的な冷房設備として活用することで、快適な環境づくりに役立ちます。
シーリングファンを設置する
体育館は天井が高いため、空気の温度ムラが生じやすい特徴があります。そのため、館内の空気を効率よく循環させるためには、体育館上部へのシーリングファンの設置がおすすめです。

シーリングファンとは、天井に取り付ける大型の送風機(天井扇)のことを指します。シーリングファンによって館内の空気を循環させることで、冷暖房の効率向上や温度ムラの改善が期待できます。
遮熱シートを屋根に施工する
体育館の暑さ対策には、屋根に遮熱シートを施工する方法が有効です。遮熱シートとは、高純度のアルミ箔をシート状に加工したものであり、輻射熱の移動を抑える効果があります。輻射熱とは、遠赤外線によって伝わる熱のことで、人体の体感温度を上昇させる要因の一つとされています。
体育館の屋根に遮熱シートを施工することで、日射によって発生する輻射熱を反射し、建物内部への熱の侵入を抑制できます。その結果、室温の上昇を抑え、夏場の暑さ対策に効果を発揮します。
体育館の熱中症対策に「サーモバリア」がおすすめの理由
遮熱シートは、アルミの純度が高いものほど、反射性能が向上します。弊社の遮熱シート「サーモバリア」は、アルミ純度99%以上のアルミ箔を使用しており、輻射熱に対して高い遮熱効果を発揮します。体育館の屋根にサーモバリアを施工することで、屋根から侵入する熱を効率よく遮り、室温上昇の抑制に貢献します。
体育館の屋根への施工には、弊社で対応が可能な「スカイ工法」が有効です。スカイ工法とは、屋根の表面に遮熱シートを直接貼り付ける工法です。
屋根から侵入する日射熱を抑制できるだけでなく、屋根の接合部(ジョイント部分)を保護することで、雨漏り対策としても効果が期待できます。また、体育館は室内空間が広く、足場の設置を妨げる障害物が少ないため、建物内部から施工を行う「屋根下工法」を採用することも可能です。
屋根下工法とは、パイラックと呼ばれる金具を梁(H形鋼)に固定し、結束バンドやワイヤーを用いて遮熱シートを取り付ける工法のことです。
屋根から伝わる熱の侵入を抑えることで、快適な室内環境づくりや空調効率の向上が期待できます。
まとめ
体育館の熱中症対策には、個人で行える暑さ対策グッズの活用も有効ですが、暑さの大きな原因となる「輻射熱」への対策を行うことで、より高い効果が期待できます。弊社の遮熱シート「サーモバリア」は、輻射熱を効率よく反射することで、建物内部への熱の侵入を抑制します。
JIS A 1420に基づく熱性能試験の結果では、薄型のサーモバリアを2枚施工することで、厚さ70mmのグラスウールと同等の遮熱効果が得られることが確認されています。サーモバリアは薄くて高い遮熱性能を備えているため、体育館の屋根のように厚みを確保しにくい箇所の暑さ対策にも適しています。体育館に遮熱対策を施し、熱中症リスクの軽減や、快適な室内環境づくりに役立てください。












































